ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所 第二十回研究会報告


去る11月7日(土)に早稲田大学において当研究所の第二十回研究会が開催されました。

高等研究所セミナーシリーズ【研究エリア〈新しい世界史像の可能性〉】との共催でした。
プログラムおよび報告要旨は以下の通りです。

お名前からはテキスト記事、()内からはPDF版の要旨記事にリンクを張っております。


報告:
「イングランド農民反乱におけるジョン・ボールの「説教」再考」(PDF版赤江雄一(慶応義塾大学准教授)

「イエズス会のレトリック教育とプロギュムナスマタ(予備練習)の伝統──デカルト『方法序説』から出発して──」(PDF版久保田静香(日本学術振興会特別研究員PD)




赤江氏は1381年のイングランド農民反乱について、批判的に研究史の整理を行った上で、ジョン・ボールと彼の説教を、近年の説教研究の成果に即して再検討した。「セント・オールバンズ年代記」に描かれたボールと彼の主題説教についての記述からは、ボールの説教が当時の聖職者による説教の規範から逸脱し、その「偽説教師」としての異端性を当局に検知されるかたちで示していることを明らかにされた。


久保田氏はデカルトが少年期を過ごしたラ・フレーシュ学院におけるイエズス会のレトリック教育について、プロギュムナスマタの伝統という観点から詳細な分析を加えた。イエズス会の教育プログラムが、古代ギリシア世界においては重要な位置を占めながら、ラテン中世では等閑視されがちだった雄弁術の予備訓練課程を復興し、さらに「クレイア」や「称賛」の範例にキリスト教聖人や同時代のイエズス会士を加えるというアレンジを加えていることを明らかにされた。




盛況であり、また活発な質疑応答がなされたことも付して感謝申し上げます。
お運びくださった皆様、ありがとうございました。


(文責:鈴木)

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