ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所 第二十七回研究会報告
去る2019年12月7日に早稲田大学において、当研究所の第二十七回研究会が開催されました。
「早稲田大学高等研究所セミナーシリーズ〈新しい世界史像の可能性〉」との共催でした。
プログラムおよび報告要旨は以下の通りです。
お名前隣のPDF版のテキストリンクに要旨記事を掲載しております。
講演者
高野禎子(清泉女子大学教授)
「シャルトル大聖堂の南側廊高窓《Baies 48 et 46》
-1194年の大火災後の再建をめぐる試論-」報告要旨(pdf)
高野氏は1194年の大火災後、13世紀前半に再建されたシャルトル大聖堂のステンドグラス窓のうち、《Baie48:福音書記者ヨハネ伝》に注目され、《Baie46:聖マグダラのマリア伝》や《Baie30a:美しき絵ガラス窓の聖母》との図像学的な関連性について考察された。《ヨハネ伝》はヨハネの生涯の諸場面、とくに哲学者クラトンの宝石・薪と黄金の奇跡の場面に例外的な特徴がみとめられ、《絵ガラス窓の聖母》の下の大火災を免れた3点のパネルの場面は《ヨハネ伝》と《マグダラのマリア伝》をも結び付ける図像であるという解釈を提示された。さらに1415年のシャルトルの建築関連の修繕費に関した史料に、聖ヨハネと洗礼者ヨハネの祝日と誕生日が重なる日付が見られることを指摘され、大聖堂の中での《聖ヨハネ》の位置づけの重要性を強調されるとともに、ステンドグラスの《ヨハネ伝》、とくにクラトンの奇跡譚にステンドグラス師への敬意を読むことができるとされた。
報告後、会場からの質問を交えたディスカッションが行われました。
活発な質疑応答がなされたことも記して感謝申し上げます。
お運びくださった皆様、ありがとうございました。
(文責 毛塚)
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